愛のメモリー : Obsession (1976)

最愛の妻と娘を亡くし、その幸せだった想い出のみに生きていた男の前に突然襲いかかって来た出来事を描くサスペンス・ロマン作品。製作総指揮はロバート・S・ブレムソン、製作はジョージ・リットーとハリー・N・ブラム、監督はブライアン・デ・パルマ、脚本はポール・シュレイダー、原案はB・D・パルマとP・シュレイダー、撮影はヴィルモス・ジグモンド、音楽はバーナード・ハーマン、美術はジャック・センター、絵画はバートン・デ・パルマ、編集はポール・ハーシュが各々担当。

監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:クリフ・ロバートソン、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド、ワンダ・ブラックマン、ジョン・リスゴー、シルヴィア・『クーンバ』・ウィリアムス、ストッカー・フォントリュー、スタンリー・J・レイス、トーマス・カー、ネラ・シモンチーニ・バルビエリなど。

愛のメモリー : Obsession (1976)のあらすじ

1959年、緑濃いニューオリンズの夜。裕福なコートランドの屋敷では、主のマイケル(C・ロバートソン)と妻エリザベス(G・ビュジョルド)の結婚10周年記念パーティが行なわれていた。集まった客たちは、夫妻と娘のエミー(W・ブラックマン)を祝福する。やがてパーティも終わり、夫婦水いらずの夜をすごそうとした矢先、母を呼ぶエミーの声に、エリザベスは娘を寝かせに子供部屋へ行ったきり一向に戻ってこない。マイケルが子供部屋に様子を見に行くと、そこに2人の姿はなく、ベッドの柱に脅迫文が貼られていた。「現金50万ドルと引きかえに妻娘を返す」と……。

マイケルは親友でもあり自分の経営する会社の共同経営者でもあるロバート(J・リスゴー)を呼び相談をする。翌朝、使いの少年が身代金受け渡し方法を書いた手紙を持ってくると、マイケルは警察に助けを求めることにした。ブリー警部(S・J・レイス)の助言により、マイケルは白紙の身代金を犯人側に渡した。警察は犯人のアジトを突き止めるが、犯人はエリザベスとエミーを連れたまま逃走、後を追う警察の目の前で、車は大型タンクローリーと激突し、川中に……。その後の捜査にもかかわらず、妻と娘の姿は発見出来なかった。悲しみにくれるマイケル--。

やがて、16年が経った。マイケルはロバートと共にフィレンツェに出張する。ここフィレンツェは、マイケルがエリザベスと知り合った土地でもあったのだ。その夜のうちに仕事を済ませ、翌日、マイケルはエリザベスと出逢った思い出の教会に行く。そこでマイケルが見たものは、なんとエリザベスにうり二つの女性だった!以来マイケルは、ロバートを先にアメリカに帰し、その娘サンドラ(G・ビュジョルド)に夢中になる。2人の仲は急速に発展していった。そうして2人は婚約し、ニューオリンズに住むことを決める。あのエリザベスが今サンドラとして帰ってくる。マイケルは幸せだった。

しかしロバートや周囲の者たちは、マイケルの早急な行動を心配する。だがある夜、悪夢から目覚めたマイケルが、胸騒ぎを覚えてサンドラの部屋へ行くと、16年前の誘拐事件の新聞の切り抜きが、あの夜と同じようにベッドの柱に貼られ、サンドラの姿が消えていた。マイケルは今度こそ16年前の過ちをくりかえさないためにも、サンドラを自らの手で取り戻そうと、50万ドルを用意するようにロバートに頼む。しかしマイケルの精神状態を心配するロバートは、50万ドル用意する代わりに会社の経営権を渡すよう説得する。この際、サンドラさえ無事ならば……。マイケルは今度こそ本物の金の入ったアタッシュケースを16年前のあの場所に置いたのだが、いくら待っても犯人からの連絡はない。不審に思ったマイケルが金を置いた所へ戻ってみると、アタッシュケースの中には、またもや白紙が……!16年前の事件も、今回の出来事も、すべてはロバートが会社を乗っ取るために仕組んだことだったのだ!

そしてマイケルはサンドラも共犯だったことを知らされる。ロバートともみ合いになったマイケルは、誤って彼を殺してしまう。怒りに我を忘れたマイケルは、ロバートの銃を手に、サンドラを追いかけて空港へ向かった。一方、自分のしたことを悔やんだサンドラは、イタリアへ戻る機内で自殺を図るが、命はとりとめた。実は彼女はマイケルの娘のエミーだった。16年前、事故に遭った車に彼女は乗っていなかったのだ。ロバートから母を殺したのは父だと教えられ、父に復讐することだけを考えて育ってきたのだ。しかし彼女はマイケルと過ごした日々によって、父への愛情を取り戻していた。空港に戻されたサンドラの前には、銃を構えたマイケルの姿が!父の姿を見たとたん、幼いエミーに戻った彼女は、「パパ!助けに来てくれたのね!」と、マイケルの胸の中に飛び込んだ。サンドラこそ娘のエミーだと悟ったマイケルは、16年間の空虚な日々を埋め合わせるかのように、その腕にしっかりと娘を抱きしめるのだった--。

関連記事

  1. ブラック・ダリア : The Black Dahlia (2006)

  2. 殺しのドレス : Dressed to Kill (1980)

  3. ミッドナイトクロス : Blow Out (1981)

  4. ドミノ 復讐の咆哮 : Domino (2019)

  5. ボディ・ダブル : Body Double (1984)

  6. パッション : Passion (2012)